コロナの裏で子供に大流行中!!【RSウイルス感染症】
ニュースでは毎日新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が以前猛威をふるっているという話題ばかりですが、実際の薬局の現場では、急激に子供のRSウイルス患者が増えています。
以前は冬を中心に流行する感染症でしたが、ここ数年は夏から秋にかけて流行しています。
しかし、2017年から流行期が早まり、今年は例年以上に早い5月前から、特に西日本・東北・北陸で流行が見られ、国立感染症研究所からの報告では2021年4月12日~4月18日の全国感染者総数は3528人、5月24日~5月30日の1週間で7818人と、すでに4月の時点で例年の流行期の患者数に匹敵していたのです。外来での迅速検査の保険適用は1歳未満のため、実際にはそれ以上の患者さんが罹患されていたと思われます。
そして今でも、全国42都道府県で前の週と比べて増加している状態です。
RSウイルス感染症の感染経路・発症まで
非常に感染力の強いウイルスで、汚染されたカウンターは6時間、手についたウイルスは約30分間感染する力を持っています。
子供に多い感染症で、生後1歳で約7割、2歳までにはほぼ100%の乳幼児が感染するといわれています。
しかし、成人もかかる可能性はあるため、RSウイルスに感染した子供を看護しているお母さんなどに移ってしまい、最悪な場合、家族内で兄弟姉妹、お父さん全員かかってしまう可能性もあります。
ウイルスの潜伏期(感染から発症までの期間)は2~8日、一般的には4~6日といわれ、ウイルスの排出機関(感染期間)は7~21日といわれ、その間に感染が広がり、保育園や幼稚園などで集団感染が起きてしまう一因にもなっています。
RSウイルスの感染経路の多くは、感染者の咳やくしゃみ、会話中のつばを浴びてしまう「飛沫感染」です。また、ドアノブなどに触った手で、鼻や口などの粘膜や傷口にから感染する「接触感染」(特に鼻からの感染が多い)もあるので、COVID-19対策と同じく、マスク・手洗い・消毒が必要といわれています。
RSウイルスの主な症状
代表的な症状として、
・鼻汁(粘着性のない水様性)
・鼻づまり
・発熱
・ひどい咳、むせるような咳
乳幼児の場合、咳が悪化し、喘息のように「ぜいぜい」という呼吸困難に近い状態になります。特に6カ月未満の乳児は重症化しやすいため、入院治療が必要となる場合があります。
また、気管支喘息の子供では、RSウイルスに感染すると喘息発作が誘発されます。
鼻水が多く出るため、中耳炎をおこす可能性があります。
成人の場合、風邪程度でおさまることが多いですが、ひどくなると気管支炎を起こし、喘鳴を伴う気管支炎や肺炎を起こすこともあり、その場合は38度以上の発熱が5日以上続くこともあります。
いずれの場合も、通常は適切な処置をすれば、数日~1週間程度で軽快します。
RSウイルス感染症の治療
現在、RSウイルスに対して効果のある抗ウイルス薬はなく、対症療法になります。
鼻水や痰などの分泌物が多い感染症のため、できる限り早く快方に向かうため、また中耳炎の予防のため、内服薬や吸引することにより外に出してあげることが重要です。
ぜいぜいと喘息様の症状が出るときには、気管支喘息の場合のアレルギー反応によって、気管が一時的に一時的に縮んでいる状態とは違い、「気管自体が腫れている」ため、喘息治療薬を使用しても効果が認められないことが多いです。
鼻水を止める抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)は、鼻水や痰の粘り気を高めてしまう恐れがあり、痰が気管から出にくくなり、逆に悪影響の恐れがあります。
鼻水や痰を薄めて、外に出させてあげるムコダイン(一般名カルボシステイン)や、肺から喉までの痰の滑りをよくすることで、痰を出させるムコソルバン(一般名アンブロキソール)がよく用いられます。
なぜ今年は例年以上にRSウイルスが流行っているのか?
今年の患者数は、3年前や一昨年と比べると3倍、昨年に比べては800倍という数字です。
昨年はほとんど患者がみられず、その原因としてCOVID-19対策でマスクの着用や消毒の徹底、保育園や幼稚園の休園などが多かったことが考えられます。
また、この傾向は日本だけではなく海外でも起きており、米国小児学会の記事によると、2020年から2021年の流行が抑えられたため、今までRSウイルスにさらされていなかったため、免疫が獲得していない乳児・小児の罹患が今年は多いのでは?との考えもあります。
RSウイルスは「温度が高いこと」「湿度が高いこと」という条件が合わさったとき、流行する可能性が高いといわれています。
日本が温暖化したことにより、亜熱帯化し、RSウイルスの流行が見られているのではないかという意見があります。

